遂に読み終えてしまった。読了後の率直な感想だ。大学卒業目前に本屋で偶然お会いした恩師に勧められて購入し、はや5年。遂に物語の幕は閉じてしまった。積み立てられた未読本のリストから手に取るまでに5年を要したが、手を取ってからはあっという間だった。
熱中して物語に没頭できる本作は何よりもキャラクターが魅力的だ。腕が三本あるアメリカ人や乳房が三つあるフランス人、果てには顔の前にボールがある日系移民(なんとこのボールこそが語り部だ!)。他にも、巡礼者等の魅力的なキャラクターが熱帯雨林に出現したマカタンを中心の舞台として物語を織りなしている。
あまりにも突飛な出来事がさも当たり前かのように語られ、当たり前のように一喜一憂する。そんな彼らに毒をぬかれ次第に物語の登場人物の一員になった気がしてくる。そして、物語が進むごとに薄くなる残りのページの厚みを感じる寂しさに募られる。
人の営みがそうであるように、作中でも人は何かを手に入れ、喪い、発展して、廃れる。
熱帯雨林の彼方では人々の巻き起こす出来事や生み出す感情が渦を巻きクライマックスを迎えるが、いずれ儚く崩れ去る。遺されたものは”郷愁(サウダージ)”だ。読者もまた同様のことが言えるだろう。
きっとまた本を開き、物語に舞い戻るときがくる。そんな素晴らしい余韻と共に本を閉じた。

